小学館ファミリーネット 小学一年生

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第9話
「ミニラグビーってな〜に?」

ミニラグビー、ジュニアラグビーって、ラグビーの子ども版である。

ラグビーって、ルールがよくわからない。アヤカも最初、そう思っていた。でも、実際やってみるとむずかしくなかった。

鬼ごっこと一緒だ。ボールをもらえば、相手につかまらないよう、(鬼のいない)スペースをみつけて走ればいい。タックルされるのがイヤなら、さわられないようにすればいい。おじさんこと鈴木雅夫(すずき・まさお)から言われることもそればっかりだ。「スペースを走れ!」って。

端っこのほうに流れていってスペースがなくなったら、パスをするときに味方の選手と「×」のようにクロスすれば、スコーンと抜けていく。これをクロスプレーっていうのだけれど、クロスプレーをすると目の前の相手がびっくりする。これって気分がいい。

おじさんが説明する。

「練習をしなくても、試合で自然にクロスプレーがでるんです。タグの習性でしょ、相手につかまるのがいやなんだ。相手のプレッシャーがきつければ、ひとり飛ばしてパスをする“飛ばしパス”だってできる。瞬時の判断、プレーです。いわば遊び心です」

おじさんは自分が持っている最高のスピードで走ればいい、という。ただ「思いっきり走ってごらん」と。「運動会のかけっこではヨーイ・ドンで走るでしょ。そのスピードで5メートル走ればいいだけなんだから」

あるいはスピードを上げて、ふたりの相手の間に切り込めば、そのふたりは「オフサイド」という反則になる。オフサイドの選手はプレーに参加してはダメ。鬼につかまったようなものだ。そして味方にパスをする。

「オフサイドって何なの?」

アヤカはおじさんに聞いたことがある。

「簡単にいえば、パスのじゃまになる位置がオフサイドだよ。プレーに参加しちゃだめなの。攻めているときは、ボールを持っている選手の前にいる味方の選手はオフサイドになる。だから、ボールにさわったら、反則なんだ」

でも、アヤカはときどき、オフサイドわからないときがある。ボールが落ちて味方と相手の選手がごちゃごちゃになったとき、レフリーに笛を吹かれて、「オフサイド」って言われる。ちゃんと味方の選手の後ろに突っ込んでいるのに。なぜだろう?

「そのごちゃごちゃって“ラック”っていうんだけど、相手側に倒れたらダメなんだ。かたまりの一番後ろのところに戻って、後ろのほうからかたまりに入っていかないとダメなの。まあ、むずかしく考えず、ボールの後ろから後ろから…ってプレーすればいいんだ。それと倒れたら、ボールを離さないとダメ」

ミニラグビーの試合のチーム人数は、いちおう規則では、小学校の1年生、2年生の低学年はタグラグビーと同じで5人(フォワード1人、ハーフバック1人、バックス3人)となっている。3年生、4年生の中学年が7人(フォワード3人、ハーフバック1人、バックス3人)、5年生、6年生の高学年が9人(フォワード3人、ハーフバック1人、バックス5人)。フィールドのひろさも低学年(40メートル以内×28メートル以内)から中学年(60メートル以内×35メートル以内)、高学年(60メートル以内×40メートル以内)とどんどん広くなる。

タグラグビーにないスクラムはどうなのだろう。あの、相手と味方が一緒にかたまるスクラム。反則が起きて、ゲームを再開するときのスクラムは。

おじさんは「おしくらまんじゅう」と表現する。「おしくらまんじゅうやろうよ」って。

「押したら反則。組んだら、絶対、下を向いちゃダメ、顔は上げるんだ」

アヤカは心配する。

「頭を突っ込むと、ケガしないの?」

おじさんは笑顔で教えてくれた。

「小学校では安全第一。ミニラグビーではスクラムの押し合いはダメなんだ。低学年はフロントローという1人の選手が相手とゆっくりうでをつかんで頭をつけるだけ、中学年、高学年では3人ずつのフロントローがお互いのジャージーをつかんでスクラムを組む。絶対、頭と肩が腰より低くならないように組むようになっているよ」

アヤカはデブっちょと組むと、露骨(ろこつ)にイヤな顔をつくった。「こいつ、フウフウ、ハアハアいうからイヤだ」と。おじさんが笑って怒る。「そんなの気にしないの!」

試合時間は、小学生のミニラグビーはタグラグビーより長くなる。低学年が10分ハーフより短く、中学年は15分ハーフ以内、高学年では20分ハーフ以内。つまり一番長くて、20分の前半をやって、5分休憩、そしてまた20分の後半をやることになる。

汐入(しおいり)小学校の子どもたちは小がらな子がおおかった。でもタグラグビーをやっているおかげでハンドリング(パス)とフォロー(ボールを持っている味方を追いかける)のスキルが高かった。スペースをつく(相手がいない場所をみつけて走りこむ)のでまともにタックルされないし、つかまってもボールは味方につないでいく。ときにはスクリューパスも。スクリューパスってボールがロケットみたいにクルクル回って10メートルぐらい飛んでいく。

おじさんは少し得意そうな顔をする。

「つまりタグラグビーをやっている子はタックルありのラグビーでもすごいんです」

汐入のラグビーは見ていても楽しい。ボールが生き物みたいだ。子どもたちはパスをすれば、すかさずフォローに回る。まるでポップコーンがはじけるように、グラウンドいっぱいに走り回る。

みんな笑顔で。

第10話に続く

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【ラグビーガールズ 鈴木彩香】
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