小学館ファミリーネット 2017年度小学一年生モデル

小学館ファミリーネット

ラグビーガールズ番外編その1
『熱戦の連続。競技場も街も興奮のるつぼ
 ~熱狂のW杯ラグビー』

興奮(こうふん)と歓喜(かんき)、落胆(らくたん)。4年に一度の夢舞台、ラグビーのワールドカップ(W杯)が“ラグビー王国”ニュージーランド(NZ)で開かれ、ついにベスト8が出そろった。優勝候補のNZほか、欧州(=ヨーロッパ)六カ国対抗の覇者(はしゃ)・イングランドなど強豪(きょうごう)チームが順当に勝ちあがった。日本代表は1分け3敗に終わり、残念ながら、またも一次プールで敗退した。


もう1か月もNZを旅して回っている。南半球だから季節が日本の逆、冬から春に変わった。日本の4分の3ほどの面積のNZには横浜市の人口より少し多い約400万人が住んでいる。どこにいっても大自然が広がる。牧草地ではモーモー牛さん、メーメー羊さんがのんびり草をはんでいる。

でもW杯の開催地に入れば、状況が一変する。海外からの観戦客がざっと10万人。NZ国民は、ことあるごとに、「ゴー(行け)・オールブラックス(NZ代表の愛称)!」を連呼し、各国の応援団も国旗の小旗を振りながら街をねり歩いている。日本なら、「ニッポン!ニッポン!」といった具合だ。ほっぺには国旗柄のカラフルなペイントをほどこす。試合のある日はスポーツバーはどこも満杯、ビールやワイン片手にワンプレーごとに一喜一憂(いっきいちゆう)しているのだった。


大会には20の国・地域が参加した。日本代表は、NZの北島を転戦する。まずはオークランド郊外のノースショアなる地でフランス(21-47)に健闘した。農業、らく農が盛んなハミルトンでは、NZ(7-83)にまたも大敗を喫(きっ)した。先住民マオリ族の最初の定住地といわれるノースランド地方最大の街、ファンガレイでは、トンガ(18-31)のパワーに屈した。

最終戦が、NZ東海岸の海浜リゾート地、ネイピアである。別名「ワイン・カントリー」。80年前の1931年、大地震に見舞われ、街がほとんど崩壊した。でも生き残った市民たちによる「奇跡の復興」が遂げられた。酒場でこちらが日本人とわかれば、「キア・カハ!」と声をかけられた。「強く生きよう!」「一緒にがんばろう!」との意味である。

日本代表はここでカナダと熱闘を展開し、23-23で引き分けた。試合終了後、ファンからの賞賛を浴びる。でも前回W杯同様、またもドロー(=引き分け)だった。西日に照らされる中、主将の菊谷崇(きくたに・たかし)はベテランの大野均(おおの・ひとし)と肩を抱き合い、涙を流した。


オトコ泣きだ。あとで涙の理由を問えば、菊谷は少し照れながら答えた。「悔しかったですから。勝てるゲームを落とした。どうしても1つ、勝ちたかった」と。じつは試合前、前回W杯の主将だった箕内拓郎(みうち・たくろう)から〈生き様を見せろ!〉とのメールをもらっていた。「勝って、箕内さんに報告したかった。キャプテンとして、みんなによく支えてもらった。いい時間を過ごしたと思います」

大舞台だもの、選手たちは精一杯(せいいっぱい)がんばった。からだを張った。ファイトした。確かに個々のフィジカルや組織ディフェンスは向上していたけれど、ハンドリング技術やキックの精度、タックルの確実さ、瞬時(しゅんじ)の判断力、チームの連携(れんけい)は不足していた。一言でいえば、「経験値」が低かった。

「2勝」を目標にしながら、ジョン・カーワン(JK)ヘッドコーチ率いる日本代表は1つも勝てなかった。8年後、日本で開催される2019年W杯ではどうしても決勝トーナメント(ベスト8)に進出しなければならない。JKの結果責任は当然として、日本ラグビー協会はきっちりW杯を総括(そうかつ)し、育成と強化の仕組みづくりに着手しなければならない。

「キア・カハ!」。あぁ強い日本代表がみたい。第1回W杯からすべてのW杯を取材しているけれど、日本の勝利原稿を書いたのは、たった一度(1991年W杯ジンバブエ戦)である。これで日本は通算1勝21敗2分けとなった。いつになったら、ふたたびW杯の勝利原稿を書けるのか。切ない。


さて、W杯は10月8日から、負けたら終わりの決勝トーナメントに移る。「ホンモノのW杯」の始まりである。会場のオークランド湾には5500人を乗せた豪華客船が寄港し、決勝まで停泊することになるそうだ。

優勝杯はどの国にいくのか。もうしばらく、偉大なる田舎のNZが「W杯熱」にうなされ続けることになる。

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▲ラグビーボールこそ抱えていないものの、グラウンド狭しと走り回るヒツジが登場するのはニュージーランドならでは。【ラグビーガールズ 鈴木彩香】
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▲日本vsフランス戦のフランス応援団。ほっぺたのペイントにとどまらず、こうした仮装・パフォーマンスもワールドカップの楽しみのひとつ。【ラグビーガールズ 鈴木彩香】
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▲惜しくも同点に終わった日本vsカナダの試合会場(ネイピア)。画面中央より左下側に日の丸がみえる。【ラグビーガールズ 鈴木彩香】
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