2011年12月13日
12月に入り、東北や関東でははやくもインフルエンザによる集団感染で学級閉鎖になる学校が出始めたよう。うがい、手洗い、予防接種。どんなに気をつけていても、これからの季節、インフルエンザの脅威はついてまわります。
ところでここ数年、インフルエンザ対策として「ビタミンD」が注目されはじめているのをご存知でしょうか? 風邪をひいたときの栄養素といえば、ビタミンA、C、Eなどが有名。「ビタミンD」はあまりなじみのない存在ですが、はたしてどんな栄養素なのでしょう?
教えてくださるのは、管理栄養士で健康ライターの志水あいさん。栄養素の作用やはたらきについて著書もお持ちの志水さんに、知られざる「ビタミンD」の機能や取り入れ方、子どもたちへの食育ポイントなどをお聞きしました。
――そもそも「ビタミンD」ってどういう機能を持っている栄養素なのですか?
志水さん「主な機能は、カルシウムの調整役ですね。腸からカルシウムを吸収する量を調整したり、骨や歯になる分と排泄される分を調整したり...。骨や歯の形成を助けてくれるので、骨粗しょう症の予防にも役立てられています」
――カルシウムの調整役。なんだかインフルエンザと直接的な関係はなさそうですが...?
志水さん「うーん。ビタミン全般にいえることですが、ほかの栄養素が体内でうまく機能するよう、潤滑油のようにサポートするのがビタミンの役割です。そして、ビタミンDは、一部のたんぱく質のはたらきをサポートすることで、インフルエンザ予防につながっているのではないかといわれています」
――なるほど! ポイントはたんぱく質、と?
志水さん「もちろん、まだ研究段階ですから、はっきりと示されたわけではないのですけどね。たんぱく質は血液の材料になる栄養素ですから、摂取することで血行を促進して免疫力を高めるはたらきがあります。また、免疫物質そのものもたんぱく質でできていますから、インフルエンザ対策には欠かせない栄養素なんです」
――「ビタミンD」の研究はまだまだ現在進行形なんですね。
志水さん「そうですね。インフルエンザの予防効果については、ごく近年、アメリカで先に研究が始まったようですが、日本でも多方面から注目されていることは間違いなく、研究が進めば別の効果も出てきそうな気がします」
――ビタミンDはどのような食品から摂取できますか?
志水さん「きくらげ、しいたけ、あんこうの肝、にしん、さんま、しらす干し、鮭などです。ビタミンDは脂溶性ビタミンなので、油脂を含む料理で摂取するとよりベターです。あとは、きのこなどを天日干しにするとビタミンD量が増加します」
――天日干し! 意外な調理法です。
志水さん「紫外線と関係が深い栄養素なんですよ。食品から摂るほかにも、日光をあびることで、人間の皮膚でも一部合成されるんです。日光浴が骨粗しょう症予防によいとされているのは、日光がビタミンDの生成をうながすからです」
――きのこも同じように、日光浴をさせちゃおうというわけですね(笑)
志水さん「そうです(笑)。ただし、子どもに摂らせたい栄養素はビタミンDだけではないので、いろんな食品を偏らずに食べさせてあげて、外で元気に遊ばせるのが一番手軽な摂取方法ですよ」
――寒いから、風邪をひきたくないからといって室内にこもりきりになるのも、逆によくないんですね。では最後に、子どもたちにビタミンDの役割を説明するときは、どんな風に説明すればいいでしょうか?
志水さん「ほかのビタミンでも当てはまりますが、ひと言でいうなら『いつもどおりを維持してくれる栄養素』かな? 食べ物や環境がちょっと変化したくらいで体調がぐらつかないように、ビタミンDがうまく糸をひいてコントロールしてくれているのをイメージしてもらうといいですね」
健康の裏側で暗躍(?)するだけでなく、まだまだ未知の可能性を秘めている、ミステリアスな栄養素「ビタミンD」。この冬の食生活にぜひ意識したい、新たな健康キーワードです。
【取材協力】
志水あいさん(健康ライター・管理栄養士)
「健康にまつわるただしい情報を提供する」をモットーに、WEBサイトや書籍などで健康・美容関連の記事を執筆・監修。栄養素のはたらきを重視したレシピ制作なども行っている。忙しいときでも手軽につくれる簡単レシピが得意分野。最近は、食べ物をもっと深く知るために、作物の育て方などを勉強中。著書は『健康栄養レシピ事典』(エム・ビー・カンパニー)。
ブログ:志水あいの5分で簡単!低カロリーレシピ 乾燥に負けないしあわせ肌づくり
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