2012年1月17日
Eテレファンの皆さま(?)お待たせしました!
Eテレ特集第2回は、さらに「学校放送」のいまを掘り下げてご紹介。遠い昔、小さなテレビにクラスの生徒全員でかじりついて見ていた教育番組が、いまどのように変貌を遂げているかをお届けしたいと思います。
第1回はこちら
ご意見番は、前回に引き続き、NHK制作局 青少年・教育番組部の宇治橋祐之さん。ではさっそくですが宇治橋さん、学校放送っていつごろから始まったものなんですか?
「テレビ放送が開始された昭和28年からですね。もっといえば、戦前のラジオしかなかった時代にも、学校放送はあったんですよ。主にラジオ体操と、国語、音楽に使われていたみたいです。おはなしの読み聞かせや歌の授業にラジオ放送が導入されていて、戦前のことですからやや軍国的な内容のものもあったでしょうね」(NHK・宇治橋さん)
ええーーーっ! 戦前から!? いわれてみればナルホドですが、「放送で学ぶ」というスタイルは比較新しいものかと思っていたので驚きです。
「学校放送番組にはちゃんと定義があって、"学校の授業で先生と子どもが一緒に見て役立つもの"と決められています。現在の放送時間は朝9時から10時15分までの間。いま小学校では全体の73%くらいがEテレを活用してくれているようですが、最もよく見られていたのは昭和61年ごろ、全体の90%以上が学校放送を見ていたというデータがあります」(NHK・宇治橋さん)
昭和61年ごろというと、いま小学生の子どもを持っている保護者世代が小学生だったころ。確かに、昔見ていた教育番組の主題歌、たくさん歌えます!
「いまはインターネットでも番組が視聴できますから、必ずしもきまった時間にTVをつけて番組を見るという授業スタイルではないみたいです。
面白いのが、インターネットサイトのアクセス傾向。まずは朝の放送時間帯にアクセスが多くなって、お昼休みに下がり、午後の授業時間にもういちどピークがあって、さらに夕方6時過ぎからにぐーんとアクセスがあがるんです。これは、子どもたちが家に帰って宿題などでサイトを見ているということですね」(NHK・宇治橋さん)
なるほど。現代の子どもたちの生活リズムには、もはや、フツーに「ネットをする時間」が組み込まれているのですね...。宿題にもネットが活用されているとは、さすがのデジタルネイティブ世代です。
子どもの好奇心に応えながら、忙しい先生を手助け!
そんな子どもたちの宿題にも活用されている番組サイトですが、多くの番組では、子どもだけでなく先生に向けたお役立ちコンテンツもたくさん用意しているのだそう。
「学校の先生はいまとっても忙しいですからね。指導の一助となるように、授業にそのまま使える教材や、番組とは別にポイントを短くまとめた"クリップ"という短い動画などもたくさん用意しているんです」(NHK・宇治橋さん)
小学6年生向けの理科番組『ふしぎがいっぱい』より。放送内容に関連した動画が「クリップ」としてまとめられている。この回は「電気」というテーマに関連したクリップがなんと30本も! 番組の要点をスピーディに見られるだけでなく、番組内では取り上げられていない応用的な領域まで動画で学ぶことができ、必要に応じて授業の補足にポイント使いもできる。
ふむふむ。では、小学1・2年生向けの道徳の番組『ざわざわ森のがんこちゃん』を例に、先生目線でお役立ち機能をチェックしてみましょう。
『ざわざわ森のがんこちゃん』は、1996年から放送されている道徳の番組。ちょっぴり不器用な恐竜の主人公・がんこちゃんの毎日を通して、あいさつなどの基本的な生活習慣や集団生活のルールが、人形劇形式で面白く楽しく子どもたちに伝えられる。実はこの作品の舞台は、環境汚染によって人類が絶滅したあとの世界なのだそう。明るいお話しからは想像もつかないシビアな設定に思わずゴクリ。
先生を応援するために・1◆あらすじがすぐにわかる
先生を応援するために・2◆授業にそのまま使える教材がある
先生を応援するために・3◆コンテンツの活用方法がわかる
動画・ワークシート・指導案など各種の教材を"どのように活かせばいいか"まで教えてくれるという親切ぶり! 左上の「ペープサート」という、人形劇を再現できるツールは、番組サイトからダウンロードして作ることもできる。
このていねいさ、どうですかお客さん! ほぼすべての番組サイトがここまで手厚く作られているとは、いやー、驚きです。
「こうした放送コンテンツをもっともっと有効活用していただくため、NHKとNHKの関係団体である財団法人 日本放送教育協会では『先生のためのデジタルテレビ・ICT活用講座』を全国で開講しています。毎回20人から50人程度のワークショップ形式で開催されますが、参加者の先生方は各学校の代表として参加されていることもあり、とても意欲的です」(NHK・宇治橋さん)
『先生のためのデジタルテレビ・ICT活用講座』WEBサイト。上記団体が主催する以外にも、各地域で放送教育研究会が定期的に開かれ、電子黒板やその他のデジタルツールを使ったコンテンツ活用研究が行われている。
東京・大阪・名古屋などの都市部の教員は、いま、20代の若手が圧倒的に多いのだそう。それだけに、デジタル教材やデジタルツールの活用にも積極的です。
Eテレなど学校放送を柔軟に取り入れていくのはもちろんのこと、現場の先生たちがそれぞれにオリジナルのデジタル教材を考案・研究しているため、学校教育の変化はどんどんスピードを増していきそうです。
そういった観点からも、2012年は教育に大きなうねりがありそうな年。進化する学校放送コンテンツとともに、現場の動向から目が離せません!
【取材協力】
NHK Eテレ:http://www.nhk.or.jp/school/