2012年2月21日
いま、子どもや若者の "IT離れ" が進んでいるって、ご存知でした? 日本のみならずIT先進国のアメリカでもIT業界を志望する人がどんどん減っていて、大学などの情報系学科も年々人気が減少する傾向にあるのだそうです。
ITは現代の生活に欠かせないもの。ますます人手が必要になる業界なのに、なり手はどんどん減っていく......。この悪循環に「これはイカン!」と立ち上がったのが(?)、業界大手の株式会社日立ソリューションズです。
(以下、 "プロジェクトX" のBGMつきで)
子どもたちのITへの興味を呼び起こして、次世代を支えるIT技術者を育てたい。そのために、情報システムのプロとして、何かできることはないのだろうか。
そんな呼びかけに応え、集まったのが、24名の日立ソリューションズ有志たち。彼らは部署の枠組みを超えてワーキンググループを結成し、日々の激務の合間をぬって『次世代IT教室』という未知のプロジェクトを立ち上げたのだった――。
(BGMここまで)
とまあ、そんなわけで、日々忙しいシステムエンジニアの方々が子どもたちのために集結。『次世代IT教室』という、いわば "出前授業" を通じて社会貢献をしようと立ち上がったのであります。
「社員みなが、それぞれに危機感を持っていたんだと思うんですよ。IT業界というと新3Kなどと言われ、キツいとか帰れないなんていう悪いイメージが浸透してしまっていて...。もっと子どもたちが夢や憧れを抱くような業界にならなければいけない、という想いがプロジェクトの推進力になったと思います」(CSR推進部・高野美樹さん)
"出前授業" の1シーン。先生が行う授業へ、社員有志が実際に教室に入り、授業をサポートしています。写真奥のTV型ディスプレイは、以前にもご紹介した日立ソリューションズ社製の電子黒板「StarBoard(スターボード)」。画面を指でなぞると、文字が書ける!写真が拡大する!画面がスライドする!と子どもたちは大喜び。
ITを直感的に楽しめるシステムを、プロのこだわりで
そんな『次世代IT教室』が行われたのは、品川区立小中一貫校の八潮学園。小学5年生の社会科の授業として、3日間・3部構成の授業が展開されました。
もちろん授業のプログラムはゼロの状態からつくりあげられます。八潮学園の社会科教諭と24名のエンジニアが、何度も試行錯誤を繰り返しながら、子どもたちの好奇心に応える教材の開発を進めていきました。
<次世代IT教室・授業内容>
・・・と、文字で書くだけなら簡単ですが、6月のキックオフから翌年1月の本番まで多くの時間を要しました。IT業界的にいうと、相当な "工数" を費やしています。
「プログラムの制作過程では、教材作成をはじめ苦労が多々ありました。やはり私たちは企業人で、技術者。どうしてもあれこれ詰め込んでしまうんですよ。あれも言いたい、これも大事だ、と、小学5年生の学習教材なのに言葉づかいなどがまるで会議資料のようになってしまって(苦笑)。その点、学校の先生はさすが、子どもに物事を伝えるプロ。相手に何かを伝える難しさやコツを学ばせていただきました」(CSR推進部・竹谷未希人さん)
3日間の授業の中でも、特に子どもたちの心を捉えたのが、授業2の「ITを体験してみよう!」。これは身近なITの一例として、コンビニのPOSシステムを擬似体験できる授業。なんとこの授業のためだけに、プロのシステムエンジニアたちが一から設計をして、本物のPOSに近いシステムを構築したのだそうです。
お客さん役の生徒が、店員役の生徒に、商品に見立てたカードを渡します。店員の生徒がバーコードを読み取ると、瞬時に店長役の生徒のパソコンに在庫状況が表示され、発注管理までできるという仕組み。擬似的なシステムではありますが、プロの技術が惜しげもなく投入されています。
「私たちはシステムのプロ。仕上がりには相当こだわりました。子どもは大人が思っている以上にずっと本物指向です。"子どもだまし" では通用しないだろうということで、細部まで手を抜かずきっちりと作り込みました」(人事総務統括本部長・井藤敏之さん)
ロールプレイング中に電子黒板に表示された画面の一例。POSシステムを使うと、晴れの日や雨の日で商品の売れ行きに違いがあることなども一目瞭然。子どもたちはITの便利さや社会のしくみを直感的に学ぶことができます。
パソコンや電子黒板の画面に動きがあるたびに、パッと笑顔になる子どもたち。現場のリアクションにふれる瞬間は、モノづくりの職人たちが "やっていてよかった!" と心からよろこびを感じる瞬間でもあります。
「社会貢献にはいろいろなかたちがあると思いますが、今回のように、自分たちが築きあげてきた技術を通じて、子どもたちの成長に貢献できるというのは、ほんとうに技術者冥利につきる話です。後日先生からも、ITを仕事にしている人からの生の声はとても貴重で、児童にとってITを身近に感じることができた授業内容だったと言ってもらえました。次世代を担う子どもたちにITに興味をもってもらうという目的を果たせたのではないかと思います」(人事総務統括本部長・井藤敏之さん)
「有志のメンバーは、忙しい本業の合間を縫って『子どもたちのために、このねらいをどうやって伝えるか』を真剣に考え、この半年以上にわたるプロジェクトに携わっていました。私はプロジェクトを影から推進する立場として、本当に価値のある授業を提供したいと思うと同時に、メンバーの真剣な姿を見て、絶対に成功させたい!と強く感じました」(CSR推進部・竹谷未希人さん)
この『次世代IT教室』は、今後もブラッシュアップを重ねる予定なのだそう。オファーさえあれば、他の小学校でも展開することも可能なのだとか。
興味を持った教育関係者や保護者のみなさん、情報システムのプロ集団とコラボしてみてはいかがでしょう?
【取材協力】
日立ソリューションズ:http://www.hitachi-solutions.co.jp/