Chapter 8
安全への取り組み、各地の事例

【地域の取り組み】

子どもの安全に欠かせないのは、やはり地域に根ざした防犯活動。都市でも地方でも、自治体・PTA・学校が協力しあってこそ、大きな力になるというもの。そんな地域防犯の活動例をご紹介します。

PTA・地域ボランティアがキャラクター付きブルゾンで集団パトロール

PTAや教育委員会がボランティアの方と協力して、防犯活動を行っている地域は多いようです。最も一般的に見られるのが、登下校時に交差点などに立ち、挨拶運動をかねて見守る集団パトロール。

愛媛県・松山市小中学校PTA連合会では、「こども見守り隊」を結成。各学校や地域のボランティアの方々が中心になり、キャラクターを揃えたベストやブルゾンなどを着て歩くという「見せる防犯」という形で、登下校時の監視や、遊び場の見回りなどを行っています。

また、東京都・港区(生活安全課)では、PTA等の団体が児童・生徒の登下校する時間帯にあわせて、通学路での声かけや安全確保の活動を実施する際に使用するベスト・腕章等のパトロール用品を供与しているほか、六本木地区では、委託事業者による通学路のパトロールも同時に行っています。一方、小中学校・児童館等の区立施設に防犯器具を配備するなど、さまざまな地域機関の協力のもとに防犯体制を整えています。

不審者が大嫌いな「あいさつ」運動を推進

不審者は声をかけられるのが大嫌い。地域や自治体が協力して行う挨拶運動は、安全な街づくりのために欠かせないものです。

(あいさつ道路)
 関東のある市では、同市内の小学校前の道路を「あいさつ道路」として指定。PTA、自治会、商店会などと協力しあい、あいさつ運動を推進。地域住民が集い語らう憩いの場となり、地域コミュニティの拠点となって、犯罪と事故のない明るい地域社会づくりにつながることを目指しています。

また、北海道(環境生活部くらし安全局くらし安全推進課)では、「あいさつ・みまもり・たすけあい運動」を実施。職場や近所、町内など、身近な場所での挨拶や声をかけあう運動を推進。普段、散歩や買い物で歩いているようなときから、子どもを見守る意識を持とうと呼びかけています。

大学生ボランティアと連携し、「挨拶」を演劇にする

北海道(環境生活部くらし安全局くらし安全推進課)では、大学生ボランティアと協力し、防犯活動を推進。「挨拶の大切さ」を演劇にして、小学校などで演じるなど、挨拶運動の活動を支援しています。

自治体と地域ボランティアが協力しあうことで、より豊かで深い防犯活動が広まっているのです。

安心の目印・ステッカーの配布――「まもるくんの家」ステッカーを配布

北海道(環境生活部くらし安全局くらし安全推進課)では、「みんなで守ろう子どもたち」のステッカーをつくり、バスやタクシー、企業の営業車両などに貼ってもらい、パトロール的な役割を担ってもらっています。

松山市小中学校PTA連合会でも、郵便局やタクシーには「こども110番」ステッカーを、協力家庭には「まもるくんの家」ステッカーなどをそれぞれ配布。なにかあったときに通報してもらったり、いざというとき子どもたちが逃げ込める避難場所としての目印となっています。

インターネットの防犯活動(防犯サイト作成や、防犯メールの配信)

茨城県教育委員会では、防犯サイトを作成し、各地域で起こった不審者情報を迅速に共有する活動を行っています。

また、登録した人に身近な犯罪等の情報や防犯ポイントなどを記した「みんなと安全安心メール」を配信している東京都・港区(生活安全課)や、民間で防犯メール配信を行っている愛媛県・松山青少年育成市民会議など、地域によってさまざまな形で、インターネットを使った防犯システムが活用されています。

いずれも、危険が起こりやすい場所や、「不審者になんといって声をかけられたか?」など、その地域ならではの最新事情を、いつでもすぐに得ることができる便利なツール。自治体のホームページなどでわかる場合も多いので、ぜひ地元の状況をチェックしてみましょう。

小学校区を核とした地域防犯活動

大阪府(政策企画部青少年・地域安全室治安対策課)では、小学校の余裕教室や公民館等を活用して、子どもの安全見まもり隊や防犯パトロールなどの地域防犯活動の拠点となる「地域安全センター」の設置を進めています。「地域安全センター」では、学校・警察・行政・地域が連携し、地域安全情報の発信や情報交換、防犯教室を実施するなどの防犯活動を行っています。

【学校での取り組み】

1日の大半をすごす学校で、安心して過ごせること。それは、子どもにとってはとても大切なことです。最近は私立校だけではなく、公立校や塾などでもさまざまな防犯対策がなされているようです。

【校内への侵入を防ぐために!】

防犯カメラを数カ所に設置する小学校や警備員配置による監視のある小学校

いま、最も多くの学校で活用されているのが、防犯カメラ。お茶の水大学附属小学校など、校内に数台設置している学校も少なくありません。また、東京学芸大学付属世田谷小学校では、防犯カメラと合わせて、警備員を常駐させ、より念をいれた監視システムを導入しています。カメラや警備員の存在は、不審者を見つけるだけではなく、不審者を寄せ付けない効果もあるようです。

侵入者を許さない!施錠システム 電子錠や電磁ロックも採用

青森県弘前大学教育学部付属小学校では、子どもが登校したら、すべて出入り口を施錠し、外部からはインターホンで対応しています。また、横浜市立あざみ野第一小学校や、和歌山市の某校など、電子錠や電磁ロックを活用している小学校も。子どもが登校した後は施錠し、来客の際も、中からきちんと確認しないと開くことのできないようになっています。侵入を防ぐ施錠システムは、年々発達しているようです。

子どもの安全にICカードで登下校情報を管理し、メーリングリストを整備

認証システムやインターネットをうまく使っている学校もあります。
 東京学芸大学付属世田谷小学校では、ICカードで児童の登下校情報を管理しています。
 また、お茶の水女子大学附属小学校では、各家庭のメーリングリストを活用した緊急連絡システムを導入し、学年単位・通学路単位・学校全体などを使い分け、必要なときに迅速な緊急メールを配信できる態勢にしています。

【それでも心配、登下校】

集団登下校&地域のみまもり運動で安全対策

お茶の水女子大学附属小学校では、通学班組織を作り、例えば近くで事件が起こったときや、交通機関が止まって普段とは別ルートで帰るときなどは、必要に応じて集団下校させています。

熊本県玉名市鍋小学校では、地域と協力して、スクールボランティアを実施。登下校時の児童への随伴、防犯パトロール、交差点での待機などが行われています。そして毎年年度はじめには、スクールボランティア総会が行われ、地区ごとに危険箇所の確認や活動の方法等について話し合いが行われます。

【いざというときの防犯訓練】

これだけ気をつけていたとしても、もし不審者が侵入してしまったらどうするか? 多くの小学校では、防犯訓練が実施されているようです。
 横浜市立あざみ野第一小学校では、不審者が侵入したときを想定して、そのときどう行動すべきか?などの防犯訓練を、年に1回実施。子どもたちだけではなく、教師がどう動くべきかも一緒に訓練しています。また、警察協力による防犯教室も、一・三・五年生向けに実施。頭での理解と、いざというときの対応力、その両面から訓練を行い、子どもの防犯意識を高めています。

【学習塾の取り組み】

最近では、学習塾なども防犯への取り組みをしているところも。
 栄光ゼミナールでは、不審者侵入の対策として、教室入口に「警察官立寄所」のステッカーを貼り、「子ども110番の家」の活動にも参加。地元警察や自治体との連携を深めています。全教室に設置している入退室管理システムでは、「Pitカード」を使って、ご家庭に入退室の通知メールを送付することができます。